世界遺産「古都京都の文化財」のひとつ・宇治上神社。平等院の鎮守社として長く崇められてきた神社で、全域が世界文化遺産に登録されている非常に格式が高い神社です。
「世界一小さい世界遺産」とも呼ばれる宇治上神社。是非、ご覧ください。
2023年7月時点での情報で執筆しています。訪問の際には、最新の情報をご確認ください。
宇治上神社とは
宇治上神社は、京都府宇治市にある神社。すぐ近くにある宇治神社とは二社一体の存在で、明治以前は両社合わせて「宇治離宮明神」と呼ばれていました。
境内全域が世界文化遺産に登録されています。
御祭神は菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)・応神天皇・仁徳天皇。
応神天皇の寵愛を受けて皇太子となった末の皇子・菟道稚郎子が、応神天皇が亡くなられた後、兄・大鷦鷯尊(後の仁徳天皇)に天皇の位を譲り、宇治の離宮へと退きました。しかし、応神天皇が定められたこととして大鷦鷯尊も天皇の位を菟道稚郎子に譲ろうとし、譲り合いが長きに渡りました。その間に国民が戸惑い世が乱れてしまったことに心を痛めた菟道稚郎子は、「自分が生きていれば世が乱れる」と自ら命を絶つことに。そして大鷦鷯尊が宇治で菟道稚郎子を手厚く葬ったことが、後に宇治上神社創建の言われとなったそうです。※諸説あります。
宇治上神社アクセス*最寄り駅は京阪宇治・JR宇治
●京阪宇治駅から歩いて10分・JR宇治駅から歩いて15~20分
●神社横に参拝者専用駐車場あり(無料)※宇治上神社以外に行くと罰金が科せられます
宇治神社・宇治上神社周辺は道が細いです。参拝者が多いとなかなか駐車場までたどりつけないかと。(宇治上神社駐車場へは鳥居をくぐらなければならなかったような・・・)宇治神社隣にも朝霧駐車場(700円/回)がありますが、個人的には平等院周辺の駐車場の方が停めやすいと思います。
宇治上神社参拝・見どころ紹介
【拝殿】国宝*鎌倉時代の優れた遺構
鎌倉時代前期に建てられたもので、寝殿造の遺構といわれています。本殿同様、国宝に指定されています。その手前にあるのが「清め砂」。
京都・上賀茂神社の「立砂」は神様が降りられる依り代ですが、こちらの「清め砂」は境内地のお清めのための砂。八朔祭(9月1日)に氏子さんたちによって奉納されて1年間盛られ、お正月や祭礼など大切な日に境内に撒き、境内地をお清めするそうです。
「清め砂」は自宅用に授与所にて受けることができます
【桐原水】現存する唯一の「宇治七名水」
拝殿に向かって右側にあるのは「桐原水」。
室町3代将軍・足利義満は宇治茶の栽培を奨励。御用茶園に指定した優れた7つの茶園は「宇治七名園」と呼ばれました。そして、お茶の栽培には欠かせない水も宇治にはいたるところで湧き出していて、中でも有名なものが「宇治七名水」とされました。「宇治七名水」の中で唯一現存しているのがこの「桐原水」です。
注意書きが貼ってありますが、この水をこのまま飲むことはできません。
柄杓がかけられているので、お水をすくって手を清めましょう。
【けやき】樹齢300年以上のご神木
授与所の後ろに、樹齢300年以上のご神木の「けやき」があります。このけやきは宇治市名木百選のひとつになっています。けやきの前にはおみくじがたくさん結ばれていました。
【本殿】国宝*現存する最古の神社建築
本殿(国宝)は平安時代後期に伐採された木材が使われていて、現存する神社建築としては最古とされています。左右の社殿が大きく中央の社殿が小さく造られています。中央の「中殿」は応神天皇、「左殿」(向かって右側)は菟道稚郎子、「右殿」は仁徳天皇を祀っています。
【天降石】「岩神さん」と呼ばれる巨石
本殿の東側に大きな石があります。「これは何の石なんだろう?」と思って調べてみると、「天降石」や「岩神さん」などと呼ばれている石のよう。
調べたときにたくさん出て来た写真では、この石の上にたくさんの小石が積み上げられていて、「置いた石が落ちなければ願いが成就する」と言われている、との記述が多く見られたのですが、私が訪問した時は石はまったくのっておらず、柵も置かれていました。
「隕石である」や「かつて何らかの社があった標」、「磐境信仰による創祀」という説もあるそうです。
もう一ヶ所、春日神社前の階段の手前、右側にも同じような巨石が祀られていました。
【春日神社】鎌倉時代に建立された摂社
こちらは本殿の東側にある、重要文化財の摂社・春日神社です。御祭神は、建甕槌命(たけみかづちのみこと)・天児屋根命(あめのこやねのみこと)。
春日神社は藤原頼通が創建した平等院の鎮守社となったことから、藤原氏の氏神である奈良・春日大社から勧請したとも言われているそうです。
【住吉社・香椎社】宇治上神社の末社
本殿のさらに東には、末社・住吉社と末社・香椎社。
御祭神は上筒男命(表筒男命)(うわつつのおのみこと)・底筒男命(そこつつのおのみこと)。この二柱は住吉三神(すみよしさんじん)に含まれ、神功皇后の三韓出兵時に神威を発揮した海の神です。禊祓い、和歌の神としても崇敬されています。
御祭神は神功皇后・武内宿禰(たけうちのすくね)。神功皇后は大和朝廷初期に活躍した仲哀天皇の后で、応神天皇の母。武内宿禰は皇后に仕え、さらに幼帝の応神天皇を助けて偉功があった忠臣です。
【武本稲荷社・厳島社】宇治上神社の末社
本殿の反対側・西側には二つの末社があります。
末社・武本稲荷社。御祭神は倉稲魂命(うかのみたまのみこと)。
末社・厳島社。御祭神は市杵嶋姫命(イチキシマヒメノミコト)。
宇治上神社は「うさぎ」のおみくじが人気
宇治上神社では「うさぎ」のおみくじが人気です。
「宇治」という地名は、かつては「菟道」(うさぎのみち)と書いて「うじ」と読みました。宇治上神社の御祭神の一柱「菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)」も「菟道」と書きます。そのため宇治上神社のお守りの紋やおみくじに、うさぎが使われているそうです。
カラフルな「うさぎ」がひしめきあっているのがとってもかわいい♪
「願い人形(ひとかた)」も。願い事をひとつだけ書いて授与所に預けると、本殿に捧げられ、願い事の成就をお祈りしていただけます。絵馬がないので、願い事はこちらで。
御朱印いろいろ*季節朱印が人気
宇治上神社の御朱印は種類が豊富。その中でも特に人気なのが「季節朱印」。その時々の季節に応じた御朱印を分けていただくことができます。
右側の御朱印、台紙の色は何種類かあったのですが、私は宇治色を選びました。
左側の御朱印が季節朱印・・・?ではないかもしれませんが、2023年の干支・うさぎにちなんでリニューアルされた「うさぎ朱印」です。うさぎの毛の「白」とうさぎの目の「赤」をモチーフとしているそう。色合いがかわいいですね。
宇治神社と合わせて参拝するのがおすすめ
宇治上神社とは二社一体の存在である宇治神社。
宇治神社も「うさぎの神社」で、絵馬やおみくじ、御朱印も「うさぎ」。また、「うさぎさん巡り」という願掛けでは、本殿を3周する間に3つのうさぎの置物に出会えると、絵馬に書いた以上の御利益があるとのこと。
御祭神は菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)。宇治上神社と同じですね。
御祭神が河内の国からこの地に向かわれる際に、兎が振り返り振り返り先導したという故事から、正しい道へと導く「神使のみかえり兎」が崇められています。
宇治上神社を参拝する際には、こちらの神社も是非参拝してみてください。
皆さんの旅が最高の旅になりますように
今回は、宇治上神社をご紹介しました。
皆さんの旅が最高の旅になりますように。
いい旅を。
たまのじでした。